プーケットで1年間ゲストハウスを経営してわかったこと、大公開!

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2017年の3月1日からプーケットのパトンビーチでゲストハウスを経営しています。あっという間に1年が過ぎました。

今後海外でゲストハウスを経営しようと考えている方に向けて、ゲストハウスを実際に1年間経営した私の失敗談、成功談、全部公開します!

これであなたも明日からゲストハウスオーナーに!

結構真面目な記事で、非常に長文なので読むのが大変かもしれませんがお付き合いいただければ幸いです。

ゲストハウスは儲かるか儲からないか。

のっけからお金の話で恐縮ですが、生きていく上で欠かせない非常に大切なことなので、一番最初にお話しします。

1年間、自分のゲストハウスの様子を見つつ、競合他社を観察していたのですが『ちゃんとやれば儲かるし、ちゃんとやらなければ儲からない』というなんの変哲も無い結論に至りました。

ゲストハウス経営の数字

宿泊業はある程度見通しがつく商売です。

非常にシンプルな計算式によって売り上げと利益が求められます。

  • 部屋数×単価×稼働率=売り上げ
  • 売り上げー経費=利益

この中で部屋数は変えられません(改装、増築などを除き)が、単価と稼働率はある程度自分の意思で変えられます。

また経費は人件費、電気水道インターネットなどの料金、クリーニングなどの外注費用などから求められます。

  • 単価と稼働率を挙げる
  • 経費を下げる

この二つの手段によって利益を最大化することができます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

ゲストハウスの単価をあげる

ゲストハウスの単価をあげるには外的要因と内的要因が密接に関わります。

外的要因は観光地の個性やシーズンなど。内的要因はゲストハウスのハード面とソフト面の改善やマーケティングです。

ゲストハウスの単価をあげる外的要因

需要と供給によって、単価は変動します。

需要が大きく供給が少ない場合は単価は上がり、需要が少ないのに供給が多い場合は単価が下がります。そのバランスは観光地の個性やシーズンなどによって、大きく変わります。 

観光地の個性によるゲストハウスの単価

辺鄙な国へ行ったことある人は経験があるかもしれません。

外国人が泊まることができるレベルのホテルが周辺に1軒しかない。といってもボロボロでいい値段がする。

需要に対して供給が少ないため、簡単に言えば『殿様商売』が成り立っているわけです。

しかし、こういう場所にホテルを作ろうというのはなかなか難しいです。訪れる観光客の絶対数が少ないからです。数年間の赤字を覚悟して、自分でこの観光地を有名にするのだという強い決意と覚悟が必要です。

シーズンによるゲストハウスの単価

いわゆるリゾートはこちらにあたります。クリスマス・年末年始や乾期と呼ばれる時期に観光客が集中し、需要が供給を上回ることで単価が上がります。

都市型のホテルではそれほど差は大きくないと思いますが、リゾート系ですとハイシーズン/ローシーズン、もしくはオンシーズン/オフシーズンという切り替えがあります。

とは言え、ハイシーズンだからどんな値段でもいいんだ!というシンプルなものではありません。周りの競合他社や稼働率によって、最適な単価を追い求めなければなりません。

ゲストハウスの単価をあげる内的要因

ゲストハウス経営を考えている方はこの内的要因を変えることで、単価をあげるように目論んでいる人が多い気がします。

具体的にいうと、既存の建物をリースなり購入なりして、自分の手で改装。キレイなゲストハウスにすることで単価をあげる。

もしくは、マーケットを限定して特化型にし、そのマーケットに届かせる。という手段です。

改装によるゲストハウスの単価

自分の夢のゲストハウスを作りたい。もしくは現状があまりにひどいから改装をして、キレイにすればお客さんは来るはずだという考え。

ちょっと危険です。

なにが危険か。

自分の立ち位置、マーケットの立ち位置を無視してしまう可能性があるからです。

私のゲストハウスを具体例としてあげましょう。

  1. 一部の部屋を完全に改装して、新しくキレイな部屋に作り直しました。
  2. 改装費用を回収するために値段を上げて販売。
  3. それが意外と予約が入らない。

それでもそこそこ埋まるので、失敗という訳ではないのですが、成功でもないという感じです。

私が見落としていたのが、うちのゲストハウスの立ち位置。

バングラ通りという繁華街の直近。そして格安で個室に泊まれる。というのがうちの立ち位置でした。

しかし、改装をして単価を上げたことによって、その部屋のみが売れ残った場合、価格競争では勝てなくなってしまいます。

キレイにしたら高く売れるはずという理想お客さんが求めている現実が乖離してしまったという例です。

ハイシーズンにはそれでも埋まってくれ、売り上げを伸ばしてくれるので完全な失敗ではありませんが…。

お金をかけて、改装・リノベするときはよくよく考えないといけませんね。

ゲストハウス経営に夢や希望が強すぎて理想を追い求めてしまうと、現実と離れ過ぎてしまい、売り上げが想定より伸びず、お金がなくなり、倒産&日本へ撤退というゲストハウス経営失敗も十分にありえます。

マーケティングによるゲストハウスの単価

特化型ゲストハウス。昔から日本人宿というのがありました。世界一周中、情報交換ができる場として日本人宿は存在意義がありました。今はノマド系ゲストハウス。旅をしながらお金を稼ぐ人を対象にシェアオフィスのような作りにしてあるところが随分増えました。

そういうテーマを持って開業し、そのゲストハウスが広く認知され、そのマーケットだけで十分お客さんがたくさんいるのであれば、いい方法だと思います。

バンコクで日本人のフリーランス向けにゲストハウスを開業。海外でも生きていけるフリーランスの日本人にそのゲストハウスの情報が届き、多くの人が頻繁に来てくれる。

こうなれば大成功ですね。

しかし、ここには2つの問題点があります。

1.特化したマーケット以外は切り捨てるのか。

特化型にするとそれ以外のお客さんは居心地悪く感じます。

ウェブサイトの写真などをみて、いいなぁと思って、訪れたゲストハウスに日本人しかいなかったらフランス人はいい気持ちはしないでしょう。アウェー感がすごいです。

それでそのお客さんの満足度が下がってしまうくらいなら、あらかじめ日本人宿と明記したほうがいいかもしれません。しかし日本人以外お断りにして採算は合うのかどうか。難しいところですね。

2.どうやってリーチするのか。

特定のマーケットへリーチする方法も難しいです。みんなインターネットを通して、自分で情報の取捨選択をします。フリーランス向けゲストハウスを作っても、その人たちに届かなければ、存在しないのと同じです。

昔は地球の歩き方に広告を出せば、それだけで日本人全体にリーチしました。しかし、今やインターネットで検索する時代です。

旅行者の多くが旅行記を書き、それぞれでホテルを紹介しています。検索の仕方一つでその何千人という数の旅行者の旅行記を見ることができます。

紙媒体での広告はもう難しいと思います。じゃあ、どうすればいいのか。

もし特定のマーケットへマーケティングをするのであれば自分の属性をうまく使うことです。私がサーファーのためのゲストハウスをやったところで、サーファーは集まらないと思います。

でも日本や海外でサーフィンしていた人がサーファーのためのゲストハウスを開き、知人友人を通してサーファーマーケットにダイレクトマーケティングができれば、友達が友達を呼び、サーファーたちが集まるゲストハウスを作ることができると思います。

自分の得意分野や趣味のコミュニティがある人は、マーケット特化型のゲストハウスをやると、自分も楽しいし、友人も増えるしといいとこだらけです。

ゲストハウスの経費を下げる

これまでは単価をあげるお話でしたが、今度は経費を下げるお話。

経費を下げるのは、なかなか大変です。各経費を考えてみましょう。

ゲストハウスの人件費を下げる

ゲストハウスを運営する最小人数は何人でしょうか。

うちのゲストハウスを運営しているのは3人+私です。

フロントが二人、ハウスキーパーが一人です。これは客室数が少なく、24時間営業ではないから出来る最小人数です。

自分を現場スタッフに入れるかどうか。これが大きな問題です。

タイでは労働法により外国人規制があるので、私は現場に立つことはできません。しかし、それを無視して現場に立っている人もいます。色々考え方はあるんでしょうが、私はリスクを抱えたくありません。

もし働いている姿を写真のとられ、労働局に送られると罰金を取られますし、罰金だけですまない可能性も否定できません。

そして、海外で商売をさせていただく以上、雇用を生むなり、税金を納めるなり、その国に対して、還元しないといけないと考えています。なので、ちゃんと雇用はしながら、ギリギリな人数で運営しています。

ゲストハウスの電気水道インターネット代を下げる

今すでに無駄があれば、手を加えることができます。

多くのホテルで導入されているカードキーシステムはその一環の一つです。カードキーを認証することでお客さんが部屋にいないときに電力をカットすることで電気代を抑えることができます。

ただ建物によって、電気の配線を変えられるところ変えられないところがあります。もし配線がいろんな方面に伸びていると出来ない事もあります。一番電気代を食うだろうエアコンだけをそういう設備に取り替えるのもありかもしれません。

水道代はどうでしょうか。うちは地下水を汲んで、ろ過装置(浄水器)を導入する事で水道代を抑えています。

インターネットの回線も見直しが必要です。今の世の中、インターネットは早ければ早いほどいいとされています。しかし、その分のコストと見合うのかどうかは重要です。通信会社によっては無制限にしなくとも十分な速度が出る場合もあります。

ゲストハウス経営の数字関係のまとめ

すごい細かい話をしましたが、これらの数字の積み重ねがゲストハウス経営にあたってとても重要です。

ゲストハウス経営というと夢がありそうな雰囲気がありますが、実際は純粋な自営業・ビジネスです。どうにか売り上げを上げて、スタッフに給料を払って、初期投資コストを回収しつつ、自分のお給料をもらう。

つまるところ、街の電気屋さんや八百屋さんと同じです。真面目にコツコツと仕事していくしかありませんね。

もし数字に関して苦手意識を持っていたり、自信がない方はぜひこの本を読んでください。絶版になってしまったので、やや値上がりしていますが、これを読まずしてゲストハウス経営は無茶だと思います。13章のレベニューマネージメントの章は必読です。

ここまでは夢のないお話ばかりだったので、ちょっと話題を転換。楽しい話もします。

ゲストハウスオーナーとしての生活

人件費についてお話した時に言いましたが、タイにいる私は現場には立てません。厳密にいうとカウンターの中に立って、お客さんとのお金のやりとりが出来ません。ですので、普段はフロントスペースの椅子とテーブルに座って、パソコンで予約管理やお金の計算等をしています。

実働時間は約15分です。

毎日予約管理をしていれば、それほど1日の作業量は多くなりません。これは格安ゲストハウスの傾向で、基本的に予約は当日分か翌日分がほとんどです。先々の予約はあまりはいりません。

最初の頃は1日中ハラハラして、営業時間ずっとフロントにいて、表通りを歩く人数、ウォークインの人数を計算したり、直前で値段を安くしてみたり、なんかしなきゃと焦っていました。

しかし、自分の努力で働きかけられるもの、どんなに努力しても働きかけられないもの、というのがわかるようになってきました。

私がいくら頑張っても日本からの直行便は出ませんね。

やれることをしっかりと、それ以上のことは天に任せる。

そして、余暇は楽しむ。

そんな生活を過ごしています。

具体的にいうと、今の時期はサーフィンシーズンなので朝起きたら海に行って、サーファーの方とだらだら。波が出て来たらサーフィンして午後ホテルに出勤。ホテルの仕事をしつつブログでプーケット観光情報を発信。そして夜はお客さんとバングラ通りへ飲みにいく。という生活パターンです。友人に話すと『隠居生活』と言われます。

さいごに

ゲストハウス経営のイメージが湧いたでしょうか。

人と関わるのが好きな人にはとても楽しい仕事です。でも、ゲストハウスのスタッフではなく経営者になると、色々数字の悩みは尽きません。

でもゲストハウス経営者になって、経営が軌道にのると自分の時間にも余裕が持て、現場はスタッフに任せて自分の時間やお客さんとの時間を持つことができるようになります。

…とはいえ、まだ夜中とか早朝とかにお客さんからの電話で起こされることがありますが…。

お問い合わせ

プーケットでゲストハウス経営に興味ある方はお気軽にお問い合わせください。

ここには書かなかった細かいお話いっぱいあります。プーケットへお越しの際は、色々お話しできると思いますので、ぜひご連絡を!

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