成田空港の飛行制限緩和なるか。『成田縛り』や国内争いについて

成田空港は不便です。なぜあんなに首都圏から離れているのか。

今回、成田空港の飛行時間制限の緩和を国と成田空港(NAA)が提案したので、そのニュースや成田空港が抱える問題、日本のよろしくないルールづくり(成田縛り)について紹介します。

 

まずは今回のニュース

成田空港は、現在午後11時から午前6時まで滑走路が使用禁止になっています。
それを午前1時から午前5時にしてくれませんか。と国と成田空港(NAA)が県や周辺市町村に提案を投げかけた。というニュースです。

 

本当にくだらない。

何がくだらないって、50年以上昔の話をいまだに引きずっているあたりがくだらないと思います。私も含めて結構な人がまだ生まれる前の話です。
そして、今更どうにか出来るとでも思っている人がいるんですね。アホか。

嫌々ながら、今回の問題の根深さをまずは紹介したいと思います。

 

成田空港が抱える問題

成田空港は、建設時から大きな問題を解決しきれずに今に至っています。
それが三里塚闘争または成田闘争と呼ばれる問題です。

 

さかのぼること、今から54年前1962年
国際線の空港だった羽田空港がキャパオーバーとなり、新しい空港を建設することが計画される。

時は戦国時代…ならぬ『新左翼(過激派)、なんでも政府に反対時代

政府が十分な説明をしないまま計画が進んで行ったことに対する、地域住民の反対活動から始まり、日本社会党日本共産党といった左翼政党からの支援を受け活動が激化。
過激派新左翼の加入によりテロや殺人事件が発生。

どこの国の話ですか?そうです、日本です。

元々運動の中心だった地域住民が、あまりの過激さにドン引き。(鉄道の駅の爆破など)さらに冷静に考えてみれば、空港が出来て発展すればいいよねと弱腰になる

もう後には引けない新左翼、さらに先鋭化。一般市民をターゲットにしたテロ活動をしたり、内ゲバしたり、永遠とゴタゴタ。

高齢化の影響もあり、最近目立った活動はないものの『成田空港廃港』を夢見ながら今日も過ごしている。

 

そんなこんなで地域住民を納得させることが出来なかったため、発着時間の制限などにより利便性が悪い空港の出来上がり。

今更になって、国際線のハブを海外に取られて焦ってもしょうがないよね。

 

バーカバーカ

 

って悪口を言ってもしょうがないので、分析を。

問題分析

今回の問題には3つのファクターがあると思います。

1. 政府の問題

予定地の選択の段階で、ドロドロ。いまだに誰がどうやって決めたのかわかっていないらしい。ただ当時の自由民主党の副総裁『川島正次郎』の地元、千葉県富里村が建設予定地にされたので、まぁ裏で大分ドロドロしたんでしょう。

というか、我田引水するなら話を通しておけって思います。結局地元自治体と調整がうまくいかず、近くの成田市三里塚にしようと閣議決定

ここでうまくやればよかったのに、ろくに説明もせず、立ち退いた後の住居の提案も何もせずに話を進めたから、さぁ大変。地元住民の大反対。

2.新左翼の問題

安保闘争やら全共闘やら、よくわかりませんが、共産主義者はなぜこんなに好戦的なのでしょうか。いや、別にいいんですよ。考え方っていうのは人それぞれなんで。

腹立たしいのは、こうやって共産主義を支持し、暴力的な行動を取っていた人が、就職とともに資本主義に鞍替えして、会社やら社会で偉そうなツラしているのが腹立ちます。

これ以上書くと罵詈雑言になるので、控えます。

3.地域住民の問題

初期は彼らもガチで戦おうとしていたわけですね。時代の流れもあったんでしょう。『力には力を』という完全な対立姿勢を取ったことで、新左翼を受け入れました。

ただあまりに活動が過激化し過ぎてしまったために、国民から『あの人たちもやばい人たちだ』と思われるようになり、理解を得られなくなってしまいます。

そして、農村の過疎化が加速し始めた時代とも重なり、このまま衰退するなら空港を受け入れようという考えが主流になります。

かといって、自分たちが呼び寄せた過激派を追い出す訳にもいかず、中途半端になぁなぁにしてしまう訳ですね。非常に日本的です。

 

こういった三者の問題が複雑に絡み合っているのが、成田空港の抱える問題なんですね。

 

成田空港に未来はあるのか。

結論からいうと、限りなく厳しいと思います。手をつけるのが遅過ぎた。

一昔前は、JALANAという大きな航空会社を二つも抱えていたので、アジアのハブ空港を目指そうという考えもありました。

しかし、滑走路のキャパシティーが足りない(拡張できない)という条件や飛行時間の制限、首都圏へのアクセスの悪さなどをなーんにも改善しないまま、放っておいたら他国の空港があっという間に成田空港を追い去って行きました。

今では韓国の仁川空港や上海の虹橋(ほんちゃお)空港、浦東(ぷーとん)空港、マレーシアのクアラルンプール空港、シンガポールチャンギ空港バンコクスワンナプーム空港、ドンムアン空港など続々と登場+改善されています。

はっきり言えば、時代の流れに取り残されてしまっていました。

さらに成田空港延命のために、クッソくだらない手段を講じてしまったのが致命的。

悪名高き『成田縛り』とは

死にそうな成田空港に、チューブを何本も繋いで、何とか延命しようとしたのがこの『成田縛り』。なにかというと羽田空港に発着したかったら、成田空港へもちゃんと飛ばさないとダメですよ』という完全に意味不明なルール。

本格的に羽田空港が国際線のターミナルとして稼働(再稼働)し始めたのが、2014年の春。首都圏に近く、旅客の利便性も向上するし、空港使用税も成田空港より安い。

世界中が期待した羽田空港の国際線受け入れですが、このままオープンしてしまうと成田空港を誰も使わなくなってしまう。

ということで、羽田空港に発着したかったら、成田空港へもちゃんと飛ばさないとダメですよ』という裏ルールを発動。

んなアホなということで、そもそも日本線を撤退する航空会社も。

私が考える改善点

文句言ってても生産性がないので、個人的に考える日本の航空業・空港業の改善点を考えてみたいと思います。

①思い切って、成田空港と羽田空港を入れ替える。

現在羽田空港は日中国内線、深夜と早朝が国際線という形になっています。もちろん、成田空港は終日国際線。

これを入れ替えます。

羽田空港が国際線(レガシーキャリア)、成田空港が国内線と国際線(貨物とLCC)。

まぁ間違いなく、成田空港が国内線のハブになったら乗客は減るでしょう。しょうがない。空いた分の施設をパイロット養成所にしたらいいんじゃないですか。また昨今、すごい勢いで伸びているLCCを成田空港限定にすれば、羽田空港との差別化ができます。

成田縛りなんかよりよっぽど健全です。

 

JALANAを合併させる。

なぜこの国に2つも大きな航空会社があるのでしょう。いらないです。
2010年の破綻の時に、そのまま破綻させてしまえばよかったです。経済への大きな影響や渡航者の減少など様々なネガティブなことが起こったかもしれませんが、それは乗り越えなければならなかったんです。

果たして救済する意味があったのかどうか。債権放棄(5215億円)に公的資金注入(3500億円)で8715億円もかけているわけです。

すでに過去の話なのでそれは置いておいたとして、四の五の抜かさず合併させた方が合理的です。

上記に関連してですが、JALは赤字路線もカバーしていたのだ。社会的公器の役割も果たしていたんだっていう意見もあると思いますが、そんなことは知ったことではありません。赤字を垂れ流すのは企業体としてありえません。

陸の孤島になってしまう場所がある。というのであれば、国から補助を出して自治体が飛ばせばいいんです。そのために税金というモノを払っているんです。

 

③完全独立系、日系LCCを就航させる

現在日本には5社のLCCが拠点を持っています。
(もちろん就航しているのはもっと多くあります)

・ピーチ(ANAと香港の投資ファンド
・バニラエア(ANA子会社・元はエアアジアと組んでいた)
エアアジア・ジャパン(マレーシア)
ジェットスター・ジャパン(オーストラリア系)
春秋航空日本(中国系)

これをご覧の通り、日本のオリジナルというのはあえていうならバニラくらいです。
しかし、ANAの100%子会社。ただ看板変えただけともいえます。

ANAJALというのは採算が間違いなく取れるビジネス路線を中心に就航しています。
しかし、それだけでカバーしきれていないからこそ日本の空港はハブ化できないんです。

日本の空港をハブ化するのは、とにかく色んな路線を飛ばすのが前提です。

例えば、台湾人が日本で乗り換えてグアムとかパラオに行くとか。ロシア人が日本で乗り換えてブルネイに行くとか、そういうバラエティを増やさなくてはなりません。

かといって、ANAJALがそこまでフットワーク軽くいけるかというと難しいです。養わなきゃいけない社員が多すぎます。

そこで、フットワークの軽いLCCが必要になってきます。それも大会社の紐付きじゃない冒険心溢れるLCCです。

ヴァージングループのリチャード・ブランソンのような経営者が理想的ですね。
日本でいうと西村博之とかホリエモンでしょうか。宇宙開発より前にLCCへ手を出してくれると嬉しいですね。

 

 

成田空港の小さなニュースから、燃え上がりすぎました。
でも、これくらい日本に空港業っていうのは危機的な状況なんだということを一人でも多くの方に伝えられたら幸いです。