アルジェリアへ行こう!ここは地の果てアルジェリア。驚きの歴史と魅力。
アルジェリア?ナイジェリア?
『ここは地の果てアルジェリア』
この文章にピンときた人はおじさん・おばさんというかおじいさん・おばあさんです。エド邦枝さんが1955年に歌った曲『カスバの女』という曲の歌詞です。
映画好きな人にはフランスの名優ジャン・ギャバンの映画『望郷』(原題:Pepe le moco)の舞台として。小説好きの人には、『今日、ママンが死んだ』で有名なアルベール・カミュの『異邦人』の舞台としてご存知かもしれませんね。
今回はそんなアルジェリアの国情報や観光情報をご紹介します。
アルジェリア
国情報
アルジェリアの位置
地中海を挟んでスペインやフランスの対岸。
モロッコとチュニジアと合わせてマグレブ地方と呼ばれます。
マグレブとはアラビア語で日の沈む場所。日本とは真逆ですね。
アルジェリアの面積と人口
実はアルジェリアは現在アフリカで最も大きな国です。
(以前はスーダンでしたが、分裂したため)
その大きさなんと2,381,741㎢!日本の6.4倍です!
その一方人口はというと4000万人。日本の1/3です。
広い国で羨ましい!と思うかもしれませんが、アルジェリアの大半はサハラ砂漠。人が住むことができない不毛の地が広がっています。
アルジェリアの宗教
ローマ帝国にキリスト教が公認された時代に活躍し、今のキリスト教の礎を気付いたヒッポのアウグスティヌスはアルジェリア出身ですが、ほぼ100%イスラム教徒が住む国です。
アルジェリアの歴史
自分ちょっと語っちゃっていいすか…?
アルジェリアはとても面白いです。お金が有り余るほどあれば映画化したいようなエピソードがいっぱい。油でも掘り当てたいくらいです。
アルジェリアの砂漠地帯には先史時代に掘られた壁画が多く残されています。後ほど紹介しますが、『ギャラリーフェイク』という漫画を読んだ方なら『白い巨人』という言葉を覚えていらっしゃるのではないでしょうか。
今でこそ砂漠のイメージが強い北アフリカですが、かつては緑生い茂る穀倉地帯。カルタゴやローマ帝国がここを支配し、植民都市として栄えました。
そこでやって来るのがヴァンダル族。モンゴルのヨーロッパ侵入に追い立てられてスカンジナビア(北欧)からスペインを通って、北アフリカに。アルジェリアを根城に今度はイタリアに渡り、あらゆる破壊・略奪を行います。
そこから美しいものや尊ぶべきもの、文化を破壊する運動のことをヴァンダリズムと呼ぶようになりました。
ここまでだと『ふ〜ん』って感じかもしれません。
じゃあ、そのヴァンダル族を率いてローマを攻め滅ぼした王様の名前はなんでしょう!
正解はヴァンダル王ガイゼリック!
聞き覚えありませんか?そう。この人。
ベルセルクの骸骨の騎士、ガイゼリック!
さらにあの世界で最も有名な漫画のキーマンのモデルもアルジェリア関係!
それはワンピースの赤髪のシャンクス!
赤髪のシャンクスのモデルになったのは赤ひげのバルバロッサ。
この人のエピソードも痺れる。
バルバロッサはアルジェリアを根城にしていた海賊でした。
当時スペインではレコンキスタが行われイスラム教徒やユダヤ教徒が改宗するか国から出るかという選択肢を突きつけられていました。
多くのイスラム教徒やユダヤ教徒は出国を選び、スペインからジブラルタル海峡を渡りモロッコへ。そしてアルジェリアへと逃げていきました。
バルバロッサは、彼らを支配下に置きどんどんと勢力を増していきました。面白くないのはスペインなどのキリスト教国…だけではなく、地中海の東にいたオスマントルコ帝国。
戦闘能力だけでなく、政治的な能力も優れていたバルバロッサはここでウルトラC。
自らオスマントルコ帝国の帝王の元へ赴き、アルジェリアを献上する代わりに自分を海軍提督に任命するよう勤めました。
これに喜んだのはオスマントルコ帝国。当時海軍が弱かったオスマントルコ軍は地中海でヨーロッパ諸国に圧されていましたが、バルバロッサのおかげで艦隊だけでなく海軍まで手に入れることができました。そして、アルジェリアは平和を維持することができたのです。
なんという外交力…!ロマン溢れますな! 映画化決定!(私の中で)
その後は、近代に入りフランスの植民地にされ、苦しい時代を経て独立しました。
しかし、数年前に日本の方が被害にあうテロなどがありました。
非常に特殊な地域だったので、それだけでアルジェリアを評価するのは苦しいところです。本当に素敵な国なので、いつか訪れてみてください。
アルジェリアのビザ情報
日本人がアルジェリアへ観光で行く際は事前にビザの取得が必要です。
アルジェリア大使館のビザ取得方法のページ
The Embassy of Algeria, Tokyo - Japan
英語なので、簡単に翻訳すると
・申請用紙2枚(大使館でもらえます)
・6ヶ月以上有効なパスポート
・パスポートサイズの写真2枚
・宿泊証明書 もしくはアルジェリアの旅行会社のインビテーションレター
・アルジェリア往復航空券のコピー2枚
・旅行全体の日程表(英語かフランス語)コピー2枚
・ビザ申請料金3600円
以上をアルジェリア大使館にもっていく(郵送)すると2営業日で出してくれます。
アルジェリアへの行き方
日本の成田空港からアルジェリアの首都アルジェまでは
エアフランスでパリ乗り継ぎ
アリタリア航空でローマ乗り継ぎ
もしくは
トルコ航空でイスタンブール乗り継ぎ
で行くことができます。
アルジェリアの治安
今現在は残念ながら外務省はほとんどのエリアで渡航の延期を呼びかけています。
数年前まではここまでではなかったんですけどね。
一刻も早く、治安の回復を望みます。
アルジェリアの観光地3選
アルジェのカスバ
まさに青空迷宮。
首都アルジェにはカスバと呼ばれる地区があります。(世界遺産)
歩いていると気づいたら人の家の庭にたどり着いています。ガイドなしでは100%迷う非常に複雑な街です。
自分がどこを歩いているのかわからなくなりながら路地裏をただ歩いていると自分が何者なのかそんなに重要じゃない気がしてきます。そういう感覚が大好きなのでよく路地裏散策をします。
そこで出会った人たち。
ガルダイア
ムザブの谷というアルジェリアの中部にある渓谷にある街。
イスラム教徒でもイバード派と呼ばれる少数派の人たちが住んでいる街です。
非常に特殊な中世の建築様式を保っていて、それが世界三大建築家の一人、ル・コルビュジェに影響を与えたと言われています。
街ゆく親子
タッシリ・ナジェール
先史時代の壁画はアルジェリア南東部に残されています。
広範囲にわたって岩に様々な壁画が描かれています。
しかし、ここへたどり着くためにはラクダを連れたキャラバン隊とともに何泊も野宿しながら行かなくてはなりません。
その案内をしてくれるのが、砂漠の遊牧民『トゥアレグ族』別名ブルーマン。
太古の昔、自分の何千代も前の祖先が、この地で生まれ育ち、壁画を刻み、歩き出し、山を越え、川を越え、海を越え、死に、生まれ、別れ、出会い、今に至る。
これが奇跡なんだなぁと思います。
アルジェリアのお祭り
砂漠の遊牧民『トゥアレグ族』のお祭り、スビーバ祭り。
毎年イスラム暦に合わせ、遊牧民たちはタッシリナジェールの近くのジャネットというオアシスに集まりそれぞれの部族に伝わる踊りや歌を披露し合います。
より優れた部族がさらに踊りや歌を続け、祭りは10日間続きます。
準備からお祭りの風景まで
ガイドブック・書籍
より深くアルジェリアを知るために
リンク
アルジェリア大使館
The Embassy of Algeria, Tokyo - Japan
日本アルジェリアセンター
さいごに
個人的に所縁がある国なので、気合が入ってしまいました。
紹介しきれなかったのですが、貴重なカルタゴ・ローマ遺跡群や驚きの風景まで素晴らしい観光地がたくさんある国です。
しかし、昔から落ち着いたかと思ったらトラブルがあって入国が難しくなる繰り返しです。
早く情勢が安定して、その魅力的な観光地に外国人が気軽に訪れるような日が来ることをお祈りしています。